永峰潤ブログ 英語ができる会計士はどうして少ないのか
海外の会計士、とりわけ米国の会計士と話すと日本の会計士の数が少ないことをよく尋ねられます。
現在、米国の公認会計士は約30万人。対して日本の公認会計士は約2万人です。これに無理やり税理士約6万人を加えたとしても約8万人ですから、単純な数の対比をすると確かに少ないのかもしれません。
ただし、米国会計士の場合は職域の範囲が日本会計士よりずいぶんと広いので、単純な比較は余り意味がないかもしれません。一例を挙げれば、米国では上場していない企業であっても銀行に借入の申し込みをする際は必ず公認会計士の監査を受けなければなりません。このマーケットのみでもかなりの会計士の糊口を満たすことができ るはずです。
この業界も以前から国際化の波が押し寄せてきて、いわゆるビッグ4以下の規模の会計事務所も各々国際的なネットワークを構築したく、その際、どうしてもはずせない日本で会計士事務所と組もうするとき、組む相手のミスマッチに悩まされている現状があります。
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アメリカでは売上高が上位10社位までの会計事務所の場合、ビッグ4以下の中堅規模でも1社当たり事務所の売上は年間4〜500億円くらい、会計士の数もプロフェッショナルで100名以上、スタッフの数で1500名位がざらであります。
これに対し日本の場合、そもそもビッグ4以外の会計事務所の売上を把握すること自体が難しいのですが、業界的な感じで言うと、おそらくスタッフ200名以上を抱えている会計事務所は全国で10社なく、売上も多くて50億円程度ではないでしょうか。
ちなみに今後は法定監査の分野で、会計士協会(金融監督庁?)が要求する監査サービスを行うためには、スタッフが最低100名は必要と� ��われていますから、今後は100名以上を抱える会計事務所が続々と出てくるはずです。その理由は最近の監査不祥事に対する業界の対応として、会計士協会による会計事務所(監査法人)に対する内部調査が大変厳しいものになったからです。会計事務所側ではその対応に大変な手間とお金がかかるため、すくなくとも100名程度のスタッフを抱えていないとコストを吸収することはできないでしょう。
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ところで−ここからが本題なのですが−これら我が国大手準会計事務所の一番の特徴は、圧倒的にクライアントは国内企業であり、海外クライアントには殆ど全く興味がないという特徴を有しているのです。
このため先に挙げたようなアメリカで中位程度の規模を持つ会計事務所が、日本でそれに見合う大きさのパートナーを探そうとしても、その相手がいないという現実に直面して困惑するという状況がずっと続いています。
日本の準大手事務所の絶対的売上高が米国と比較にならないのは、また別の問題ですが、例えば従業員200名規模の会計事務所でも海外に興味がない理由はとても簡単です。
海外のお客様相手に無理 に英語をつかわなくとも、充分に国内のお客様だけでやっていけるからです。
現在、世界の先進国のうち、人口一億人以上の国は、実にアメリカと日本だけです。
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日本は、もういずれ中国に抜かれるでしょうが、依然として世界第2位の経済大国であり、国内市場だけで充分に食っていける企業が山のようにある国だということです。そういう背景を抱えているので、ひとり会計業界だけが例外というわけでなく、まず、手っ取り早くお金になる国内市場をメインターゲットにしているのは、ごく自然な流れなわけです。そういう点からは、国内市場が余りに小さいがために、始めから海外進出を目的としなければならないヨーロッパ諸国とは、英語に対する必要度合が異なるのもむべなるかなです。ちなみにノキアの本社があるフィンランドの人口は500万人です。
そういう国内事情を抱えている我が国が、� ��うして国際化の波に否応なしに巻き込まれなければならないのかはきわめて疑問であります。
話がそれますがSOX(内部統制)にしても、国内市場で資金調達して国内の消費者に製品を供給する企業、つまり海外で資金調達したりする必要のない企業までもが、この規則に従う理論的根拠があるのでしょうか? 私的には疑問であります。
話を戻すと、そういう事情があるが故に、我が国の実態というものを踏まえて、そのことを忘れずに、なおかつ海外の人たちとお付き合いすればいいのではないでしょうか。そのような自覚から、初めて節度や自分達の基本スタンスが決まるのだと思います。
英語ができる会計士が少ないのは当然です。ただし、今後はこれではやはり困ることになるので、英語を話す会計士はいずれ増えていくでしょう。
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